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骨粗しょう症予防に効く食事とは?最新研究で判明した危険な食習慣と安全な食生活

 

【骨粗しょう症と食生活の関係:最新研究が示すリスクと予防法】

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近年、骨粗しょう症は高齢化社会における重要な健康課題のひとつとなっています。骨粗しょう症とは、骨密度が低下し、骨がもろくなって骨折しやすくなる病気です。特に高齢者では、転倒による椎体や大腿骨の骨折が寝たきりの原因になることもあり、日々の生活に大きな影響を与えます。

 

骨粗しょう症はさまざまな要因によって引き起こされますが、中でも食生活は私たち自身でコントロール可能な重要な要素です。今回紹介する論文では、複数の観察研究をもとに8種類の食生活パターンと骨粗しょう症の関係が分析されました。この記事ではその結果をわかりやすく解説し、どのような食事が骨の健康に良いかをご紹介します。

 

【1. 炎症性の高い食事は骨粗しょう症リスクを高める!】

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まず注目すべきは「炎症性の高い食事(Dietary Inflammatory Index:DII)」です。これは、食事が体に与える炎症の程度を数値化したもので、赤身肉や加工食品、糖分の多い飲料、揚げ物などが多く含まれた食生活を指します。

 

この研究では、DIIの値が高い人は、骨粗しょう症のリスクが約1.82倍高いことが明らかになりました。これは、炎症が骨を溶かす細胞(破骨細胞)を活性化させ、骨の密度を低下させるためと考えられます。

 

特に加齢により免疫機能が変化し、体内での慢性的な炎症が増える高齢者にとって、炎症性の高い食事はリスクを高める要因となるため注意が必要です。

 

【2. 健康的な食事パターンは骨粗しょう症を防ぐ】

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一方、野菜や果物、全粒穀物、低脂肪の乳製品、魚介類、ナッツなどを多く摂る「健康的な食事パターン(Prudent/Healthful dietary pattern)」は、骨粗しょう症のリスクを大きく下げることがわかりました。

 

この食事パターンを実践している人は、骨粗しょう症になるリスクが約34%も低い(OR: 0.66)という結果でした。これらの食品には、カルシウムやマグネシウム、ビタミンD、ビタミンK、たんぱく質など、骨の形成や維持に必要な栄養素が多く含まれています。

 

また、抗酸化作用のある成分も豊富に含まれており、骨の破壊を防ぎ、骨の再構築を促進することが考えられます。

 

【3. 植物性食品中心の食事も一長一短】

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最近では、健康志向の高まりから「植物性食品中心の食生活(Plant-Based Diet Index:PDI)」が注目されています。全体的なPDIだけでなく、健康的な植物性食品を多く含むhPDI(healthful PDI)と、不健康な植物性食品を多く含むuPDI(unhealthful PDI)に分けて分析が行われました。

 

その結果、uPDI(ジュースやスナック菓子、白米など精製された食品が中心)は骨粗しょう症のリスクを約1.37倍高めることが示されました。一方で、hPDIでは有意なリスクの低下は見られませんでした。

 

これは、植物性食品であっても、その質が重要であることを意味します。ビタミンやミネラル、食物繊維が豊富な未加工の食品を選ぶことが骨の健康にも良いと考えられます。

 

【まとめ】

 野菜・果物・魚介類・ナッツ類.png

このメタアナリシスの結果から、食生活は骨粗しょう症の発症リスクに大きく影響することが明らかになりました。特に、以下のポイントが重要です:

 

1. 加工食品や糖分の多い食事は避ける

2. 野菜・果物・魚介類・ナッツ類を積極的に取り入れる

3. 植物性食品でも質に注意し、加工品よりも自然な食品を選ぶ

 

これらの工夫を日々の食生活に取り入れることで、骨を強く保ち、骨粗しょう症を予防することができます。

 

【参考論文】

Tan B, Su H, Wei L, Liang M. Association of dietary patterns with osteoporosis risk: a meta-analysis of observational studies. J Orthop Surg Res. 2025;20:551. doi:10.1186/s13018-025-05896-9

 

 

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